大阪での帰化申請に必要な韓国除籍謄本

大阪法務局韓国除籍謄本

大阪法務局韓国除籍謄本のお話


 韓国人の帰化申請では現在の家族関係登録簿上の家族関係証明書、基本証明書、婚姻関係証明書、入養関係証明書、親養子入養関係証明書とともに、除籍謄本を遡って取得し韓日翻訳を付けて提出しなければならないということはインターネット全盛の情報社会では今や周知の通りです。
 ちなみに先述の諸証明書と除籍謄本を合わせて家族関係登録簿記録事項証明書と言い、家族関係登録簿記録事項証明書の翻訳においては現在の帰化行政上「抄訳」は許されておらず、必ず「完訳」しなければなりません。

 では、帰化申請において、どれだけの除籍謄本を遡って提出しなければならないかというと、本来は、帰化申請を希望するその家族毎に全て違います。

 帰化申請で、韓国戸籍、つまり家族関係登録簿諸証明書と除籍謄本を提出する目的は、帰化後の日本の戸籍謄本を正確に作成することと、ひいては正確な戸籍謄本を作るための情報に齟齬が在る場合には帰化申請受付する事自体を「拒否」するための証拠を日本国が確認するためです。

 帰化後の戸籍を作るのに必要な除籍謄本がどれかと言うことは、申請者が出生時に嫡出子だったのか非嫡出子だったのか出生申告人が誰なのか認知はなされているのか準正となるのかならないのか等によって変わって来ますしさらに帰化申請受付を拒否するべきかどうかを確認するために必要な除籍謄本は現実の身分関係や本邦の届書の内容によって自ずと変わるものなのです。

 このため従来、「まずは直近の戸籍謄本(除籍謄本)を提出させて、内容によって、必要な次の除籍謄本を指示する」という方式(家族関係登録簿諸証明書のみから始める方式を取っていた時期もありました)を法務局は取って来たわけですが、これは「できるだけ必要最小限で済ませてあげよう」という法務省・法務局、つまりは日本国の帰化申請者への親心だったわけで、実際に直近分のみで帰化申請が受け付けられていた案件も多く存在していました。

 ところが、自分でチャレンジしてみようといった素人である申請者や、法務局にひとつずつ相談しながら申請を進めてみようというあまり帰化申請の経験のない行政書士など、その親心を理解していない者による申請が増えてきたため、それらの人々にとってみれば法務局の目的もわからずに法務局に言われるがまま、次の除籍謄本を遡って提出する度にさらに古い次の除籍謄本を取ってこいと指示され、挙げ句の果てに逆ギレして「最初に指示された内容と違う」とか「必要なものは初めから言ってくれ」といったクレームめいた事を言う者が増えてしまったため、業を煮やした法務省・法務局がもう親心などかけてやらん!と平成27年2月の見直しの際に最初から多くの除籍謄本を要求するようになりました。

 ただ、それでも全国的に足並みは揃わず地方により要求される書類はまちまちです。法務省の怒り具合からすると本来は「相続時と同様に父母の子供の頃までの除籍謄本を全てかき集めて全部翻訳を付けて持ってこい」と言われてもおかしくないくらいでしたが、さすが人権擁護の省庁だけあってこの期に及んでさえ少し手加減してくれています。

 ただ、先述の通り「本来、家庭毎に必要な除籍が違う」ところを無理矢理統一して指示することになったので、帰化後の戸籍情報重視派の法務局と、帰化受付拒否証拠固め派の法務局に大別されたように感じます。

 大阪法務局管轄各本局支局は、親心手続き時代にはどちらかと言うとガチガチの戸籍情報重視派で、当時帰化受付拒否「されない」証拠固め派だった私との間でよく論争になったものでしたが、制度変更後は人権重視中途半端派とでも言うべき全国でも特異な取り扱いとなりました。
 特異ではありますが、一定の明確なラインを示しているので、自分で申請するような素人の方や、駆け出しの行政書士の方からのクレームにはなりにくいでしょう。

 でも、今の線引きを続けて行くと、相続時に裁判となる火種を残したままなので、将来大阪法務局2階で問題が発生する事は必至ですから、近いうちに改められる気が致します。

 昔ながらの親心方式の時代には、帰化行政を理解している腕前を発揮でき、当方からの申請が断然早くて、他の事務所と一線を画した仕事の満足感に浸れたのですけれどもねえ。