本年(2014年1月1日)より完全実施となった韓国の道路名住所ですが、韓国国内の表示板等で非常に面白い現象が起きています。
韓国の道路名住所表示板(日本でいうところの街区表示板)の中には、韓国語(ハングル文字)だけでなく海外からの渡航者向けに中国語(つまり漢字)や日本語(これはカタカナ表記のことです)が併記されているものが見られます。公的機関が設置する住所表示板なのですから、ある意味公的な漢字訳といえることでしょう。
そのような表示の中で見られる漢字訳(中国語訳)の中には、私たち翻訳者にとって興味深い表示が見られます。
例えば、ソウルにある「명동8가길」。
表示板の韓国語の日本語訳としては、カタカナ表記で「ミョンドン8ガギル」です。
そして、このハングルの中国語訳としてはなんと!「明洞8ga街」と記載されています。
道路名住所法が国会を通過し施行されることが確実となった際に、私たち韓国語翻訳会社は頭を痛めた事柄があります。
それは、「길(キル)」の翻訳をどうしようかということでした。
この「길」という言葉には当てはまる漢字がないからなのです。
申請支援センターでも、翻訳者魂というか、なんとかカタカナで終わらせたくない良い表記はないものか、文献や法律を調査しました。
すると韓国の法律の条文上には「길」を漢字で表記する際に「”街”と表記しても良い」という文言がありました。しかしながら、もともとの登録基準地の中には「~~동1가○○번지」などの地名があり、「街」は「가」の翻訳として定着していましたから、結局、「キル」というカタカナ表記を使用することを申請支援センターの翻訳規定といたしました。
その後、世の中の翻訳業界においても、「キル」というのが一般的な翻訳として定着しつつあることと存じます。
いずれにしても、韓国の新しい法律を読んだ際には、「これは色々と問題を含んでいるなあ」というのが第一印象でした。日本の優秀な官僚の世界では、法律を作る際に見逃されるはずもないような問題点です。
しかしながら、韓国における公的な翻訳上では、法律の文言では「表記しても良い」という表現にとどまってはいるものの、他には「表記しても良い」漢字が決められていないわけですから、街中に設置する表示板などといった公的な意味合いの深い(なおかつ万人の目に触れて、論議の対象となる可能性の高い)案件においては、おのずと「길」に「街」をあてざるを得ない運びとなったわけです。
ところが、上述の「명동8가길」をその理屈で翻訳すると「明洞8街街」となってこれはなんとなく「명동8가가」というようなイメージを持ちますから、苦肉の策として「明洞8ge街」という中国語(漢字)表示となったのではないかと邪推いたします。
道路名住所の異様な公式韓国語翻訳その2/街(가)とキル(길) に続く
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