帰化申請者も父母も載っていない韓国戸籍の翻訳

 今日はとある法務局の支局に韓国籍で特別永住者の帰化申請の書類点検で行って参りました。

 今回の申請者の家族の韓国戸籍は複雑な状況にあり、本人と母の家族関係登録は韓国に存在せず、わずかに父親だけが戸籍や除籍に記載されており現在の家族関係登録簿にも登録されているという家庭です。おまけに父母は既に離婚されています。

 現在離婚しているかどうかに関わりなく、母方父母の婚姻から母の出生、父母の婚姻、本人の出生と、ひとつひとつを証明していけば、祖父母や父母が「当事」韓国戸籍上や日本での届出上で他の者と結婚していたという事実等が出てこない限り、韓国戸籍整理(現在では家族関係登録簿整理)は申請できるわけで、もちろん、帰化申請を行う前にちゃんと戸籍上の身分関係を正しておくべきです。

 しかし、複数の世代に亘って戸籍整理する事はその労力もさることながら、父母や祖父母も含めた当事者全員のやる気も必要で、申請者本人だけでは無理とあきらめてしまわれる事も多々あります。本当は無理じゃ無いんですが。

 そういった場合に、あくまでも次善策として、韓国戸籍の整理を省略して帰化申請を進めざるを得ないこともあります。
 大事な事は、あくまでも次善策なのであって、韓国に自分の戸籍が無いんですが帰化申請は出来ますか?といった質問に、単純に「できます!」等と即答するのは悪徳業者だと思って間違いないです。

 今日有ったのは、そういった「どうしても戸籍整理無しに進める事を仕方無しに希望、選択された方」の申請の書類点検だったのです。

 平成27年2月からは(少なくとも大阪法務局では)全ての案件において申請者本人の生年月日までは父母とも除籍謄本を全て遡る事になった反面、余程の疑義が生じない限りはそれ以上の遡及はしなくていいことになりました。

 ところが、今日の支局は、相続と同じ分だけとにかく遡れというのです。

 まあ実は、私も常に相続と同じ分だけ遡って調査しているので、既に有りますよ、とその場で法務局に提示してみせる事はできましたが、誰でも彼でも一元的に求めるのはちょっと理不尽な感じがします。

 さらに韓国戸籍が存在しない事がわかっている母方の、祖父母の生殖可能時期まで遡れと指示されるに至っては、あまりにも杓子定規かなと、むなしい気が致しますし、実際、大阪ではあり得ません。

 悪魔の証明と言われる、無い事の証明は本来そう言うものだとは理解していてもねえ。

 まあ、虚しいながらも、今晩翻訳いたしましょう。