「韓国戸籍、韓国戸籍」と簡単に呼ぶことが多い、韓国での身分関係の登録に関する証明書ですが、駐日大使館や、駐大阪大韓民国総領事館など各地の領事館では現在、翻訳原文を取りに行く際に、「戸籍」とか「戸籍謄本」と呼ぶと叱られます。
少し前の大阪韓国領事館での戸籍請求書には、「現在、韓国に戸籍謄本というものは存在しません」とわざわざ書かれていたくらいです。
でも、翻訳依頼のお電話などで、依頼者の方がちゃんと理解なさっている事は少ないです。
じゃあ、何と呼ぶのが正しいのかということなのですが、これがなかなか韓国でも統一されておらず、さらに法律の上でも表現がさまざまです。
ほんとうは「家族関係」などを証明する書類なので、「戸籍謄本」と呼んじゃだめとなると、「家族関係証明書」と簡潔に呼ぶのが一番楽なのですが、「家族関係証明書」という名称がこれらの証明書のうちの一種類の証明書として、既にあるので、ややこしくなっているわけです。
法律の上で、一番多く使われている呼び方は、「가족관계기록사항에 관한 증명서」つまり「家族関係記録事項に関する証明書」であり、「家族関係登録簿記録事項証明書(가족관계등록부 기록사항증명서)」とも呼ばれる事も法律上あります。
僕は、話をする際に「~に関する」という言葉が入ると聞く人に伝わりにくいので、名詞の羅列である「家族関係登録簿記録事項証明書」と言う事の方が多く、面倒くさい時には「家族関係登録簿証明書」と省略する事もあります。
「簿」を入れる事で「家族関係証明書」と区別しているつもりなのですが、初めて聞く帰化申請者などの韓国人の依頼者にとっては、「韓国家族関係証明書」も「韓国家族関係登録簿証明書」もあまり区別がついていないようです。
だから、帰化相談会の席上や翻訳依頼の電話応対などでは、わざと「韓国戸籍」とか「大韓民国の戸籍謄本」と今でも言ってしまう事もよくあります。
現実には、まだ韓国戸籍の方が伝わりやすいですね。