現在の韓国家族関係登録簿上で日常茶飯事に起こっている事ですが、もし日本で将来に素晴らしい戸籍制度を廃止しようという動きがあってはいけないので戸籍制度廃止のリスクのほんのひとつの例として覚書しておきましょう。
家族関係登録簿上で自分のきょうだい(兄弟姉妹)関係を証明できる書類は父母それぞれの家族関係証明書です。
父母ともに一度だけの結婚で婚外子が居なければ、父及び母の家族関係証明書の子女欄は同じものとなりますし、異母きょうだいや異父きょうだいといった半血きょうだいが存在する場合には家族関係証明書の子女欄は父と母で相違します。
さて、この家族関係登録証明書ですが、父母の子女欄に自分のきょうだい全員が記載されていないこともよくあります。
家族関係登録簿制度が始まった2008年1月1日時点の親族の身分関係の状況から「制度に基づいて」掲載されていないケースも存在しますが、家族関係登録簿編製の際に漏落してしまっていることもよくあります。
冒頭に表現した通り「日常茶飯事」といえるほどよく発生しています。
理由は明白です。
国民全員についてのレジストリを短期間に猛スピードでやり直したわけですから、漏れがあって当然だったのです。
簡単にレジストリのやり直しと言いますが、簡単なことではありません。
あるひとりの国民のレジストリの状況を確認する作業というのは、相続手続と全く同じで、本来は本人の子供時代から現時点までの全ての戸籍を隈無く見渡して初めて確認したと言えるわけで、ひとつのペーパーに書かれた内容を単純に別のデータベースに入力していく作業ではないのです。
ところが、家族関係登録簿は制度開始直前の電算化除籍(当時は戸籍)をベースとして作成されました。
考えるに、根本的な制度改革による改正であればそれまでのデータベース全体、つまり古い除籍も含めた連綿たる戸籍データ基に新帳簿を作成すべきところを、単なる戸籍改製作業に終わらせてしまう規定を家族関係の登録に関する法律に盛り込んでしまった立法府の過ちが現在の混乱の因果でありましょう。
戸籍制度という枠内での改正であれば、原戸籍からの移記で充分ですが、戸籍制度を「ぶっ壊した」のですから、単なる移記では足りませんでした。
そのため、現在でも相続の際には電算化除籍にも手書横書除籍にも縦書除籍にも頼らざるを得ず、結果として、韓国人相続においても帰化申請においても提出書類がこれまでの除籍謄本に現在の家族関係登録簿証明書を加えて煩雑になっただけで、戸籍制度から少しも脱却出来なかったというのが、新制度開始から10年経った現在の総括です。